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私の若かりし頃は、バイクで走れば、誰もが大我慢大会の時代だった。
歯を食いしばっても奥歯がガチガチ鳴って、震えながら走って耐えられなくなると、最後に農耕ガッパを着る。だが、アクセルを開けすぎると破れてお仕舞い。かれこれ40年前、大昔の事だ。それが今日は、肌着の上も下も、靴下も、科学のインナーウェア。指先には、北名古屋市の名店「RSAレザー」さんで分けてもらったレザーグローブの中に、mont-bell自転車用アンダーグローブを二重履き。かじかむ程にはならないのは、ウェアの性能もさることながら、ナックルガードの効能が素晴らしいからだろう。更に、ハンドルカバー(ラフ&ロード製「ハンドウォーマー」)をガードの上から装着している方は、随分重宝しておられるようだった。更にグリップヒーターを付ければ、冬でも走らなイカン気がするのかも知れない。

トランクションコントロールやABSなど、誰もが快適に走ることができるための電子制御には随分助けてもらえる。けれど、メーター内にアイスマークが表示されるような状況になった時など、機能だけに頼って「やっちまったぜ」と後悔しないよう、慎重で適切な判断が出来るのか試される時代でもある。誰もが走れる平均車速が上がった分、物理法則だって公平かつ確実に働くのだ。

名阪国道「福田IC」を過ぎて西へ進むと、それまでの三重県西部の台地から奈良盆地まで一気に下る「五ケ谷IC」付近。この辺りは、大阪と奈良を分ける生駒山系までの広大な奈良盆地が見渡せる。長い下りが続くが、大型トラックも多いため路面は荒れやすくて工事も度々。カーブに気を抜いて進入すると走行ラインがアウト側へズレる。気合を入れてステップを踏み直し、くるぶしホールドを確実にしてから、丁寧に進入。立ち上がりでアクセルを少し開ける。速度超過になり過ぎないよう、シフトは上げず、セーブ、セーブ。

それにしても、ラインがアウト側へズレるだなんて、あんなに旋回がトロかったかしら? それに、荒れたアスファルト路面でもリアサスからの突き上げを感じないまま、疲れを体感せずに随分走り続けている。これは、何かあるぞ? と思い返して気が付いた。お客様へのご案内のためお店で跨って頂いた際、「工具不要の油圧式リヤサスペションプリロードアジャスター」を最弱にしたままだった!

久しぶりの500Km。還暦はとうに過ぎたけど「今からでも少しトレーニングすれば、もっと長距離も走れる」そんな気持ちにしてくれるV-STROM650ABS XTでした。

朝8:40、カミさんが用意してくれた防寒グッズに身を包んで、お店をいざ出発。
先ずは庄内川左岸堤防を南下(まだまだ混んでる)、R23を四日市(やっぱり混んでる)、R1を鈴鹿(やっと流れが良くなった)、R25を亀山から名阪国道へ。先は長いので、どうしても止まる必要に迫られるまで、走り続けよう。何しろ、目的地は和歌山港で、往復500kmだ。

名阪国道・山添IC付近を走る。このあたりは雨に出会うことが多い。案の定、顔の前で、みぞれ混じりの雨粒がスクリーンに弾け出した。クチバシ、スクリーン、ラジエターシュラウド、フューエルタンクのデザインのお蔭もあってか、上半身から腰回りまでは全く問題なく、脚もあまり濡れてこない。冷た過ぎる程にはならないし、体も疲れてこない。メーター内の外気温計は8℃。運転していると少し上がるのか道脇の温度計より3℃程高いから、実際は5℃ぐらいかな(液晶メーターに氷マークが点く時は、メーター側で3℃表示でした)。

私より若かったら、一日1000Kmだって行けるよ、きっと!!

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国内モデル情報

あれは昨年夏の事なので今一つ確信が持てなけれど、2017model V-STROM650ABSのキャストホイール仕様に二人乗りで走った際は、前輪がトレースする路面状況がもう少しはっきりとハンドル周りに突き上げ感として伝わっていたかもしれない。それに対して、乗ってきたスポークモデルの「XT」仕様では、ハンドルバーへの突き上げが皆無だ(でも、ひょっとすると、リアサスのプリロードを緩くし過ぎていたせいかもしれない)。

美しい軽量ホイールは、外周円から中心側に向かって2本のリブが立ち上がり、そこから中央のハブへとスポークで結ぶ形状になっているから、標準でチューブレスタイヤを履く。バイク屋さんの私でも、ある意味、気が楽。標準装着タイヤは『BRIDGESTON A40』、前輪110/80R19 M/C 59V、後輪150/70R17 M/C 69V。メーター読み外気温13℃の乾いたアスファルトでは、どんなところでも快適だ。

名阪国道を無料区間終点の天理ICで降り、一般道市街地を抜け、郡山南ICから高架を登って市街地をやり過ごす。上がったり一般道になったりするが、京奈和自動車道無料区間の大きな表示が出ると、再び片側相互通行の高架道が続く。右手に大阪府県境の葛城山系を仰ぎながら南下。幾つかのトンネルを抜けると、紀伊山地の峰々が幾重にも遥か向こうまで折り重なる。桜の吉野・紀伊半島の最高峰大台山系の川上村に源流を発する紀ノ川沿いを、和歌山へと向かうR24。その北側の大阪府側山麓を走る自動車専用道を、五條、橋本、紀ノ川へと、西に向かって快走する。ドラマチックに変化するシールド越しの眺望を愉しむ、バイクで走る長距離移動ならではの醍醐味。

12:50、出発から休むことなく4時間ほど走り続けて200Km。目的地まであと50Km。(ここまで来れば、大丈夫)と思ったとたん、手が冷たい。葛城西PAに入って用事を済ませる。珈琲も戴いて、血流促進。200Km走り続ければ、普通は疲れる。だけどこれ、やっぱ疲れません。「旅バイク」って言うだけあるみたいです。

13:00、さて、いよいよ海までもう少し。程なく無料区間終点の岩出ICで降りて、R24を西進。適当なところで紀ノ川堤防に上がり、河口を目指す。堤防道路の続く中州を走り続けるとヨットハーバーや、港湾施設が見えてくる。

14:00、陸運局を探して目的を果たし、証拠写真を撮りに何時の日か来た南海フェリー埠頭へ。

15:00、名古屋への帰り道は、250Km。「何か食べようかなぁ」と思いながらだったので、高架道路を走らず、市街地を抜け、紀ノ川左岸堤防から、大和街道R24を東へ。タイミング悪く、丸亀製麺、町の珈琲専門店、回転焼きを見逃しすと、入りやすいお店はそんなに無い。マグロ体質の私は、余程でなければ停まれない、停まらない。吉野川沿いのmont-bell五條店・併設ダイニングカフェ「ハーベステラス」に立ち寄りたかったのに、事前確認が不十分なため、冬の夕暮れ時をぼんやり走り抜けてしまう。

奈良へ北上するR24では、混雑が想定される。田舎道を行きたい私は、R370へ右折。近鉄吉野線に沿って走る伊勢街道R169を更に東へ。ここでまた、モスバーカーをパス。ここから先は、もう何もないんだろうな。国道からは随分高い陸橋で吉野川を跨いでゆく、近鉄電車の車窓に灯る明かりが揺れる。山深い吉野山麓に消えてゆく様は、おとぎ話のよう。これだけで、絵になる。あたりは、もう充分暗い。奈良の日没は16:49。

「何か食える丁度良いのがあれば食う」そんな中途半端な気持ちで、大和街道?伊勢街道の一般道路をダラダラ走り続けた午後、時間と距離の帳尻はもう合わない。紀伊半島を横断して伊勢湾側に抜けたら、さぞかし爽快だろうとも思っていたのだ。

三重県側へ越えるR166 伊勢街道?和歌山街道を繋ぐ高見峠の天候や路面はどうだろう? パラグライダーで飛び出すような高所からの360°ターンが真っ暗闇に待っているのだが、今の自分には無謀、と諦める。R370、R369を針テラスへ。すっかり暮れた奈良県東部のアップダウンを、流れに乗って走る。

濡れていたワインディングで、アクセルを開け閉めしても不安になる事はない。ちょっと空転するかもしれないと思っても、トラコンが標準装備。<OFF-⇔1⇔2>と調整できるうちの、強く効くほうの<2>に設定したままで走り通した。少し濡れていた峠道で、私の操作する右手スロットルに対し、鈍い反応しかしないと感じた時があった。それがトラコンの制御だったのだろう。

17:45 、和歌山港から100Km走って、針テラスに到着。出汁の入らない暖かい玉子うどんを戴いて18:15に出発。

ここからは流れの速い名阪国道。ここまで有料道路を利用せず走ったので、このまま下道で帰る。何事もなければ、あと2?3時間だ。大型トラックの綺麗な車列を邪魔しないよう、スムーズに綺麗に流す。

「嗚呼、無事是名馬」と唱えながら、名阪国道からR1、R23に入り庄内川堤防へと進み、記念撮影のため「SBS小牧」にほど近い「県営名古屋空港」に到着。更に125Km。

20:15到着。本日の走行距離498.7Km、平均燃費表示26.9Km/L。

店長の「日帰り500Km、インプレツーリング物語」

2018年12月半ば過ぎ、「年末には納車して欲しい」というお客さまのご依頼をいただき、せっかくだからと、『SUZUKI V-STROM650XT ABS』でナンバー取得に和歌山へ向かった。この『V-STROM650XT ABS』は、ご購入いただいたお客さま皆さんが、「旅バイク」としての魅力を楽しそうに話してくださるので、ぜひ自分でもその魅力を体感したいと思ったのだ。
・・・2018年12月